生産緑地2022年問題

「生産緑地2022年問題」とは、1992年に生産緑地指定を受けた生産緑地が、30年を経過する2022年に一斉に指定を解除されることによって、大量な宅地供給による不動産市場の混乱や都市環境の悪化などが起こるおそれがあるとされている問題です。

政府は2017年の生産緑地法の改正に伴い、「特定生産緑地指定制度」を創設し、従来の税制優遇措置を10年間延長でき、10年経過後は改めて所有者等の同意を得て、繰り返し10年の延長ができることになりました。

2022年にとるべき生産緑地所有者の選択肢としては、

①買取申し出を行う
買取り申出を行っても市町村による買取りなどがされなかった場合には、生産緑地法の制限が解除され、農地の開発・売却が可能になります。

②特定生産緑地の指定を受ける
特定生産緑地の指定を受ければ、固定資産税・相続税等の優遇措置は引き続き適用を受けられますが、生産緑地法による行為制限などの義務も、相続開始などの場合を除き、今後10年間負い続けることになります。

③現状の生産緑地のままにしておく
特定生産緑地の指定を受けず、現状の生産緑地のままとした場合には、当初の生産緑地指定から30年を経過した後はいつでも買取りの申出ができることになります。
固定資産税については、激変緩和の経過措置が設けられてはいますが、5年後は宅地並み課税となり税負担が増えます。

弊社においても不動産FPとして、生産緑地所有者からアドバイスを求められるケースがあり、何が正解なのかをあらゆる側面から考えています。
不動産業者の営業戦略として不安をあおるのは論外ですが、一方で安易なリスク回避により選択肢が狭くなるのも問題です。
生産緑地といっても立地条件も同じものはなく、所有者の年齢や健康状態、農業後継者の有無、相続税の納税猶予利用の有無等、様々な要因があります。
そこに不動産市況・空き家率・金利情勢等が関連し、不動産価値(収益性等)と税金面を比較検討することが必要です。  
そして何よりも、生産緑地所有者独自のライフプランをヒアリングし、夢の実現とキャッシュフロー健全化へのサポートが最重要課題です。

私たち不動産FPは、生産緑地2022年問題に向けて、生産緑地所有者のニーズを的確にくみとり、ライフプラン・不動産・税金といった様々な側面で選択肢を提供することが使命だと考えます。